“好き”な仕事で、自分らしく。ブルーベリー観光農園のパイオニアが発信する思い

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今回は、株式会社ブルーベリーファームおかざき 代表取締役 畔柳茂樹 様です。

【Profile】
株式会社ブルーベリーファームおかざき
代表取締役 畔柳 茂樹 

愛知県岡崎市生まれ。早稲田大学卒業後、国内最大手の自動車部品メーカー・㈱デンソーに入社。40歳で事業企画課長に就任するも、2007年に独立して起業。無人栽培やIT集客などの斬新な手法を取り入れ、会社員時代を大幅に超える収入を実現した。自身の経験を生かしてブルーベリー観光農園の開設を支援するセミナーも開催し、人気を博している。

目次

ブルーベリー観光農園を運営し、年間60日の営業で売り上げ2,000万円を達成

愛知県岡崎市でブルーベリーの観光農園を経営しています。45歳の時に大企業の管理職から未知の世界である農業へ異業種起業しました。

就農するにあたって軸に据えたのが、「お客さんと交流できる農業」「人と環境に優しい農業」「斬新な農業」を目指すことです。お客さんが気持ちよく利用できるようにサービス面を整備するかたわら、コンピュータ制御による養液栽培を導入して省力化するなど、生産性も追求してきました。

農園の営業期間は、ブルーベリーが旬を迎える6~8月だけです。定休日を除くと約60日ですが、そのわずかな期間に約1万人のお客さんが来園し、年間の売り上げは2,000万円を実現しています。

また、自分と同じようにブルーベリーの観光農園を始めたい人を対象にしたセミナーも事業の柱です。自分の経営で培った知見をオープンにしながら、農園の開設準備や効率的な栽培方法、事業計画の立て方、集客などのノウハウを伝授しています。

多忙な日々に疑問、「自分らしさ」求め45歳で脱サラ

農業を始める前は、デンソーに20年間勤めていました。退職前の最後の5年ほどは管理職でしたが、年々仕事が辛くなり……。もちろん給与は大幅に上がりますが、それと引き換えにハードワークで、プライベートの時間は全く取れないような状態でしたね。

だいぶ葛藤はありましたが、このままだと自分が壊れそうだという危機感が日に日に募り、退職を決意。45歳の時に独立して農園を始めました。「新しいチャレンジがしたいから会社を辞めた」なんて人もいますが、私はそんなかっこいい理由ではありません。まずはこの仕事から逃げたいという一心だったんです。

ただ、会社を辞めたあとは、お金のことよりも自分らしく自由に生きることを優先すると決めていました。具体的な計画は立てていませんでしたが、「辞めてから考えればいい」という感じでしたね。

転職という選択肢はありませんでした。転職だと、結局は組織に所属することになりますから。自分らしく働くためには自分で起業するしかないと考えたんです。

観光農園で地域に開かれた農業を

起業を意識したときに、すぐに思いついたのが農業でした。子どもの頃から何かを育てることに喜びを感じるタイプだったんです。

ただ、これからの時代は今まで通りの農業のやり方ではいけないとも考えました。過去の延長線上ではなく、新しい形の農業とはどういうものか考えた末、たどり着いたのが観光農園でした。

農業は地域に密着している反面、意外と地域に対して開かれていない産業なんですよね。農作物を出荷し、農協や市場を経てスーパーなどに並ぶまでの過程で、地域の人と交流できるような接点はありません。

だから、地元の人も含めたお客さんと直接コンタクトができるような開かれた農業がしたいと考えました。観光農園ならものを売るだけではなく体験もセットで提供できます。

農業をやると決めてから半年くらいでブルーベリーの観光農園を始める方針を固め、その2年後にオープンしました。ブルーベリーは果樹なので、木を育てる期間が必要です。最初に時間がかかるのはデメリットですが、木が育ってからは野菜のように毎年植え替える必要がないので、効率的に栽培できます。

前職のスキルを生かし、生産性を追求

ずっとデスクワークだったので、そのキャリアが農業に役立つとは全く考えていませんでした。でも実際に農業を始めてみると、生産性向上や効率アップなどの面でほとんど手がつけられていない業界だと分かったんです。だから、会社員時代の経験が生かされたことはいくつもありますよ。

デンソーに勤めていた頃は、生産性を追求することが基本でした。たとえ売り上げや利益が増えても、工数や時間が多くかかっていたら評価されません。

私が会社を辞めた理由は、仕事が忙しすぎて自分の時間が全く取れない状況を変えたかったからです。たとえ自分が好きな農業を始めても、同じだけの労働時間だと意味がない。だから、いかに効率的に短い時間で収益を上げるかにフォーカスして力を注いできました。

観光農園を開いたのはその観点もあります。ブルーベリーの収穫を「体験」という形でお客さんに手伝ってもらえば、短時間で済ませることができますからね。

ただ、こればかりはどうしようもないことですが、天候や気候変動への対応は毎年苦労します。だからといって天気のせいにして終わりにするのではなく、なんとか打つ手はないか日々考えているところです。

集客の根幹は共感を得られるストーリー

一般消費者向けのPRは全く経験がなかったため、集客は一から勉強しました。当時はまだホームページやブログ、メルマガくらいしかない時代です。新聞やテレビで取り上げてもらい、集客につなげていました。

最近はSNSやyoutubeを活用した宣伝も最低限やっていますが、実はあまり好きではないんです。古い考え方かもしれませんが、そこに本質はないと思っています。1番大切なのは、なぜその事業をやるのかを明確にして自分のストーリーを発信し、共感してもらうことです。

SNSは情報が流れていくのが早く、1週間もたてばほとんど読んでもらえません。一方、ホームページやブログで価値のある記事を書けば、何年にもわたって読んでもらえます。私はその方が絶対お得だと思いますね。

行き詰まったサラリーマンに夢と希望を

私は大企業の管理職をいわばドロップアウトして農業を始めたわけですが、自分の好きな仕事をしているからか、いいアイデアがたくさん浮かぶんですよね。それであまり前例がなかったブルーベリーの観光農園を始めたら、メディアに取り上げられて大ヒット。オープン後の3日間は毎日行列ができたほどでした。

セミナーの開催に乗り出したのは、その経験やノウハウを、以前の自分と同じような境遇の人たちに発信したいと考えたからです。仕事に追われて苦しんでいた頃の話をすると、受講者はみんな泣きそうなほど共感してくれます。

私の今のミッションは、行き詰まったサラリーマンに夢と希望を与えることなんですよ。そのためには、やはり好きなことを仕事にするのが一番です。セミナーを受けたらあとは受講者の自由で、こちらにマージンなどは発生しません。私のセミナーを参考に観光農園を始めたケースは、少なくとも100件はあると思います。

事業計画書は経営の「航海図」

自分の思いだけ伝えて終わりという農業セミナーはよくありますが、私のセミナーでは事業計画書の作成指南に力を入れています。受講者から特に好評なのがその点ですね。それまで事業計画書なんて作ったことはないという人がほとんどですから。

私はデンソーを退職する前、事業企画課長に就いていました。要は製品などの企画書を作る仕事ですね。だから、事業計画書を作るのは大得意なんですよ。

セミナーでは、収穫量の推移や設備にかかるコスト、作業時間の目安などのデータを開示しています。受講者たちはそれを自分の場合に置き換え、アレンジして事業計画書を作成。こうした準備をしっかりすることで、自治体や銀行から補助金や融資の協力も得やすくなります。

また、単に資金準備に必要なだけではありません。事業計画書はいわば「航海図」です。しっかり計画を立てることで、例えば売り上げ目標を達成するために必要な集客数などを把握できるようになりますよね。うまくいかなかった時は、最初に立てた計画と何が違うのか反省し、改善につなげられます。

誰もが自分らしく働ける社会を目指す

経営で大切にしているのは、常に進化していくこと、そして何かを売るだけではなく「伝える」ことです。

うちの農園では体験を売っていますが、それと同時に何かメッセージを発信する必要があると思っています。お客さんに喜んでもらうことを大前提とした上で、自分らしい仕事をして生きるとはこういうことなんだと発信しています。

こうしたメッセージを通し、一人ひとりが自分らしく生きられるような社会を作るお手伝いをしたいんですよね。日本は人口が劇的に減っていくので、このままだと活力が失われてしまいます。

ただ、自分自身の話をすると、サラリーマン時代に比べて働く時間は半分になった一方、収入は倍になりました。生産性は4倍になった計算です。みんなそれくらいの能力があると思うんです。

だから、多くの人が自分らしさが生かせる仕事で才能を最大限に発揮できれば、人口が減っても日本はまだまだ伸びていけるのではないでしょうか。日本の豊かさや活力を次の世代につなげていくためにも、好きなことを仕事にする重要性を広めていきたいと思っています。

とはいえ、好きなことを仕事にしたくても、肝心の何をやりたいのかが分からないという人は案外多いです。好きなことを明確にしてしまったら、動き始めないといけません。やることを探している状態って、ふわふわしていて楽なんですよね。

私は、子どもの頃に時間を忘れて夢中になっていたことが、その人にとって一番好きなことなんだと思います。好きなことが分からないという人は、その原点に立ち返ってみてください。どうやってお金にするかは、動きながら考えればいいんです。まずは一歩、踏み出してみてはいかがでしょうか。

【URL】
株式会社ブルーベリーファームおかざきの公式サイトです。

https://blueberryokazaki.com/

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社名:株式会社ブルーベリーファームおかざき
本社所在地:愛知県岡崎市桑谷町猿口98
設立:2007年
事業内容:ブルーベリーの観光農園
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